2015
2015/12/01 FORM Cの電子申告
昨日は法人所得税のペーパー申告の申告期限でしたが、提出漏れはありませんか?
電子申告であれば12月15日まで申告期限を延長することができますので、たとえ赤字決算(課税所得無)でも期限内に提出するようにしてください。期限後申告にはペナルティ-が課せられますし、当局の監視の目も厳しくなってしまいます。
2015/11/10 OECD: BEPSパッケージのレポートを発表
OECDは10月5日、国際課税システム再構築の一環として、BEPSパッケージ案を含むレポートを発表しました。
レポートでは、『デジタル化経済の進展によって、特定のビジネスモデルが課税漏れ又は利益移転のリスク(以下、「BEPSリスク」)を悪化させるものとなっている』と指摘し、このBEPSリスクに対してはBEPSプロジェクトが有効に機能するであろうとしています。また、事業者・消費税間で行われる国際取引上、VAT等の付加価値税の漏れのない徴収を可能にするためのルール作りとその実行が不可欠であるとして『デジタル化経済の進展に合わせた税務リスクのモニタリング機能の開発が必要』と結んでいます。
納税者側でも不測の課税リスクを避けるため、BEPSが重要視する税務取引についての再検討が必要となるでしょう。
2015/11/02 ワーク・ライフバランス補助金の導入:WORK-LIFE GRANT
労働省(MOM)から発表されたワークライフバランス補助金(以下、WLG: WORK-LIFE GRANT)は、働き方の柔軟性を促進し、優秀な労働力確保を助けることを狙いとしています。
最大160,000ドル(約1,400万円)が補助されるこの補助金制度は、企業が、Flexible Work Arrangement (以下、FWA)と呼ばれる一定の労働環境改善活動を実施することで受け取ることができます。
WLGの中身を大きく2つに分けると、
となり、いずれか一方でも、又は両方でも申請可能です。
フレックスタイムや”正”パートタイマー(Permanent Part-time Employee)などの導入はFWAの一つとされることから、WLGの補助金受給資格があることになります。
大きな金額が補助されますので、該当企業の方は是非ご検討ください。
2015/10/27 TEC補助金の取扱いについて
2015年度予算で新設されたTemporary Employment Credit (TEC: 臨時雇用補助金制度)ですが、補助金相当額が順次入金されてきています。Medisaveの掛け金が1%上昇し労働コストを増加させたことに対して、この補助金を手当てすることでその軽減を図るものとなっています。
年々増加する社会保障負担ですので補助金があるのは大変うれしいのですが、一点注意が必要なのは、PIC Cash-Payoutの補助金とは異なり、この「TEC補助金は法人所得税計算上の課税対象(Taxable)」となるという点です。
今季(2015年)決算で税額の見積計算をする際、PIC Cash-Payoutを益金不算入として所得から控除した勢いで、このTEC補助金も益金不算入にしないようにして下さい。
”PIC Cash-Payoutとは取り扱いが異なる”と覚えておいていただければと思います。
2015/10/21 FORM Cの申告期限
あっという間に10月も半ばを過ぎました。
いよいよ法人所得税の申告期限も近くなり、税務調整のためのデータ収集やバックアップ資料作りに忙しい納税者の方もいるのではないかと思います。特にPICスキームを申告書提出時に行おうとされている場合には、適用するスキームの区分(割増償却なのか補助金なのか)に応じて、申告書の記載事項・数値に差異が生じます。
経験上、ラストミニッツになればなるほど混乱するものですので、お早めに作業を開始されることをお勧めします。
ペーパー申告の期限は11月30日、電子申告であれば12月15日まで申告期限が延長できます。
2015/10/14 BEPSリコメンデーション
シンガポール財務省(MOF)は10月6日、課税浸食利益移転問題(BEPS)に対するOECDが推奨する対処策を歓迎するとの発表しました。
発表の中で、「”すべて”の国や地域の課税当局が一致協力し、”適正”な手続きを進めることで、自由で公正な経済競争が育成されるだろう」ことを強調しています。
プロフィットセンターとして機能してきたシンガポールの立場からは、大国が主導する急激な税務関連ルールの変更は何としてでも避けたいところで、また、一部の国(大国)だけがベネフィットを受けるような変更も受け入れたくないでしょう。
世界経済の見通しが不確かな中でそのポジション確保のために、シンガポール政府には、今後も繊細なかじ取りが求められます。
2015/09/09 FORM C (up-load)による電子申告
FY2015から新しい申告形式が採用されました。
FORM C (upload)と呼ばれるPdf-file(又はon-line form)のFORM Cを完成させることにより、シンガポール支店の所得税申告も電子化できることとなります(従来は、「子会社形態」のみ電子申告可能で、「支店形態」はペーパーで申告する必要がありました。)。
手続きはごく簡単で、IRASのホームページからFORM C (up-load)のpdf-fileをダウンロードし、完成させた後にアップロードすればよく、税金計算書や財務諸表も同時にアップできるようになっています。
本社(本店)の承認手続き等を省ける場合には、FORM C on-lineを使い、IRASのHP上だけで電子申告手続きが完了してしまいます。
時間や経費の節約になることはもちろん、従来の電子申告手続きと比較しても格段に利便性が向上していますので、是非活用してみてください。
2015/08/18 詐欺メールに注意
IRASを騙ったe-mailやSMSによる詐欺が数多く報告されています。
彼らはe-mail等によって以下の情報提供を要求してきます。
IRASがe-mailやSMSを使用して上記の情報を確認することは決してありません。
くれぐれも、詐欺目的のコンタクトにご注意ください。
2015/07/22 見積課税所得の申告期限
見積課税所得 (Estimated Chargeable Income: ECI )の申告期限は、決算期末日から3月以内です。
つまり、3月決算法人であれば6月末、6月決算法人であれば9月末がECIの申告期限となります。例外措置としてECIの申告が免除されることがありますが、その要件は、以下の全てを満たす必要があります。
ECIの申告免除を選択したにも関わらず、確定申告時の税額が算出されてしまった場合には、一定のペナルティが課せされる可能性もありますのでご注意ください。
2015/06/22 「国境を越えた役務の提供」に関する改正の影響
日本で2015年10月1日より施行される「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」に係る改正法の影響は、シンガポール法人にも大きく関係しています。
改正法の要求するところは、大別して、以下の2つがあげられます。
これらは、日本の消費税上の「課税取引を判定する基準(いわゆる”内外判定”」が大きく変更されたことによるもので、従来は国外取引として消費税の課税対象外であった取引が、改正法施行後は一転して国内取引として扱われ、原則として消費税の確定申告が必要となります。
上記1.に対する対応として、日本国内に事務所を有しないシンガポール法人等の国外事象者は、日本の税務代理権限を有する者(税理士資格を有する者等)に依頼して、申告・納税義務を果たすことが要求されています。
また上記2に対する対応ですが、例えば、シンガポール法人で、日本の事業者に対して映画や音楽の電子配信サービスを行っているような場合、この取引は今回の改正法上、日本の消費税の課税取引(国内取引)となり、さらに、リバースチャージ方式が採用されたために、当該課税取引の納税義務はサービスを受ける日本の事業者に課されることになります。よって日本の事業者は、確定申告の際にこのサービスにより支払った対価の額に対応する消費税額を申告書に記載する必要があるのですが、前提として、サービスを提供した国外事業者(シンガポール法人)は、リバースチャージによる申告が必要である旨の記載等、一定の要件を満たす請求書等を引き渡す(又は電子送信する)ことが義務付けられます。
改正法の対象となる事業者は、10月1日の施行までの間に十分な準備をしておく必要があるでしょう。
2015/06/02 外国口座税務コンプライアンス法 (FATCA)のテスト送信
いよいよIRSが米国納税者の全世界口座情報を握ることになります。
FATCAについては、口座情報の提供に応じない米国居住者等がSGFIでの口座開設ができなくなったり、保険契約等の金融商品の購入が不可能になる等大きな影響が生じていますが、いよいよ本日から6月9日までの1週間、シンガポールの一定の金融機関(SGFI)は、FATCAのためのデータ送信サービスであるIDES (Information Data Exchange Service)を使ってテスト送信することになっており、XMLフォーマットに落とし込まれた口座情報をIRAS(シンガポール税務当局)が収集し、一括してIRS(米国税務当局)に提出されます。
口座情報の提供に同意しなかった米国居住者等の口座情報についても、IRSからIRASへの個別の要請により情報が提出される見込みです。
2015/04/21 国外転出時課税のQ&A(日本)
平成27年度税制改正により創設された国外転出時課税制度について、国税庁はQ&Aを発表しています。
1億円以上の有価証券等一定の金融商品を有する居住者である「対象者」が国外に転出等する場合には、その時点で有する「対象資産」について譲渡があったものとみなして所得税が課税されます。この所得税課税がされるタイミングは、大きく以下の3つです。
注意が必要なのは、「対象資産」の贈与や相続のケースであっても、受贈者が国外に居住している場合には、贈与者や被相続人に所得税の申告納税義務が生じるという点です。
平成27年7月1日からの施行を前に、制度内容の十分な整理をしておきたいと思います。
2015/03/23 リー・クアン・ユー元首相逝去
リー・クアン・ユー元首相が亡くなりました。
マレーシアからの独立50周年を迎える節目の年に建国の父である巨星が姿を消したことには、シンガポール国中に万感が溢れていることでしょう。親日派、知日派であった彼が日本に与えた影響も大きく、現在の両国間の良い関係は、リー元首相の優れた知見とリーダーシップによって築かれたものといえます。
ご冥福をお祈りいたします。
2015/02/27 タックスシーズン到来
今年も個人所得税の申告時期となりました。
IRASから申告手続きと申告期限の通知書が届いているかと思います。なんといっても今年の論点は、社宅費用の取り扱いの変更による所得課税強化につきます。日本本社からの駐在員の方々のほとんどが、今回の課税強化の影響を受けると思われますが、1万ドル以上の負担増となる方も多いでしょう。そもそも今回の税制改正を知らなかったケースや、日本本社サイドへ改正の影響をあらかじめレポートしていないケースなど、いろいろなところで「サプライズ」が起こっているこの耳にします。
税制改正の概要は、適時アップデートして予算化することをお勧めします。
2015/02/13 米国国外口座税務コンプライアンス法
IRASは2月6日、米国の国外口座税務コンプライアンス法(以下「FATCA」)に係る手続きのアップデートをしています。
法人を含む米国人が持つ米国外の金融機関口座について、当該金融機関に口座情報を定期的に報告することを要求する同法は、要求を満たさない金融機関に対しては、一定の送金金額から30%の源泉徴収のペナルティを課すことによって対処するとしています。シンガポール政府は昨年12月に米国との政府間合意によってFATCAへの全面的な協力を約束しており、モデル1型の手続きとして、シンガポール国内金融機関が申告する情報をIRASが取りまとめたうえで定期的に米国の内国歳入庁へ情報提出する予定になっています。今回のアップデートでは、シンガポールの金融機関が行うべき申告手続きの新洲トラクションとシステム化をアナウンスしており、事務負担の軽減を図ろうとしています。
米国からの駐在員はもちろん、すべての米国人投資家の金融情報が提供されることになります。
2015/01/28 研究開発促進税制 4th Edition
IRASは1月22日、研究開発税制(以下、R&D税制)の改訂版を発表しています。
今回の改定の目的は、R&D税制の対象範囲をより明確にして、企業自身がその適用可能性を判断することを助けることにあります。適格R&D活動の基本3要件である、
に変更はありませんが、それぞれの要件について従来よりも詳しい定義を与えて、「適格」「非適格」の判断が容易に可能となるよう図っています。
150%の特別償却が可能となるR&D税制ですが、細かな適用除外要件もあり、実際の適用には事務負担が軽くありません。プロジェクトの規模と範囲を事前に考慮し、可能な限りシステマティックに適格活動とその支出額が算定できるように準備する必要がありそうです。
2015/01/13 移転価格ガイドライン 2nd Edition
IRASは1月12日付で、移転価格ガイドラインの改定版を発表しています。
といった基本骨子に変更はありませんが、事前確認制度と相互協議の手続きについて、従来不当眼であった箇所を明確化して、運用の透明性を高めいています。
高税率国である日本サイドの追徴リスクにつき、IRASは積極的にシンガポール進出企業に便宜を図ろうとしていますので、事前確認制度の活用をお勧めします。
2015/01/02 独立50周年のシンガポール
初春のお喜びを申し上げます。
シンガポールは今年、独立50周年の節目を迎えます。高齢化社会と付加価値の創出という長く日本が取り組んできた問題に直面するこの国で、日系企業が活躍できるフィールドはさらに拡大してゆくと思われます。新規進出に伴う法人設立、法定の会計・税務に関する申告手続きについて、さらに充実したサービスをご提供してまいります。
2015年もよろしくお願いいたします。