源泉所得税 (1): 外国人専門家に対する源泉所得税

 

源泉所得税の取り扱い

 

 

 

非居住者であるプロフェッショナルに係る源泉所得税


 

1) 「非居住である専門家」の定義

企業の従業員以外の個人で、専門的知識・技術の提供を行う個人事業者の内、シンガポール国内の滞在日数が暦年基準で183日未満の者で、以下のサービスの提供を行う者:

  • シンガポール政府機関や研究機関、又は民間機関から招聘された外国人専門家で、その技術的ノウハウや専門知識のシンガポールへの導入
  • 外国人のスピーカー又は学術研究家でシンガポールでのセミナーやワークショップの提供
  • 英国王室の顧問弁護士
  • コンサルタント、トレイナー、コーチ
  • 外国企業体を通じて上記のサービスを提供する者

 

2) 外国企業体

2人以上の個人が営利目的でパートナーシップを結び、非法人化組織としてシンガポール国外にて拠出金等が実施されたもの。

但し、外国の大学等、クラブ、外国政府及び政府関係機関は含まれない。

 

 

3) 源泉徴収税率

  • 総支払金額に対して15%、または
  • 当該外国人専門家の選択により純利益に対して20%

 

4) 法定調書

FormIR37C

 

 

5) 源泉徴収税額の納付期限

  • 2012年7月1日前に支払われたもの: 翌月15日まで
  • 2012年7月1日以後に支払われたもの: 翌々月15まで

 

 

6)納税確認通知書:Confirmation of Payment letter (CP)

源泉徴収税額を納付すると、納付及びIR37Cの送付が完了した日から21日以内に納税確認通知書が発行されます。

ただし、納付額が$10未満の場合には納税確認通知書は発行されません。

 

 

7) 源泉所得税の計算

 

A: 総収入に対する源泉徴収税15%徴収時の取扱い(原則的取扱い)

該当するサービスの対価を支払う者は、外国専門家がシンガポール国内で提供したサービスから生じた「総収入Gross Income」について、「確定」源泉徴収税率としての15%を適用して徴収する義務があります。

 

この「確定」源泉徴収税率が適用される場合の諸条件としては;

  • 現金を対価として支払われるもの、及び現金以外の対価で支払われるものを含み、たとえば、支払者によって提供された宿泊施設の費用や、航空券、日当、飲食費用等がが該当します。
  • 総収入からは、いかなる経費も控除することが認められません。
  • 年間60日を超えない滞在期間の場合に認められる宿泊費用の非課税措置は、外国人専門家には適用がありません。
  • IRASからは、外国人専門家に対して納税通知書等の通知は行われず、納税義務は支払者から外国人専門家に通知されるべきことになります。
  • シンガポール国内法上の短期滞在者免税(年間60日以下の滞在者に対する給与所得の免税制度)は、この外国人専門家には適用がありません。

 

B 純所得時の取扱い(選択的取扱い)

外国人専門家は、「自らの選択」により、総所得に対して15%ではなく、純所得に対して20%の税率で課税を受けることを選ぶことができます。

 

(非課税所得

この場合、シンガポール居住者が負担した「暦年で60日以内の滞在費用(飲食費用を除く)」や「航空運賃」は特例措置として課税所得に含める必要はありません。

但し、60日を超えて滞在した場合の滞在費用は、その全額を課税所得に加算する必要がありますので注意が必要です。

 

(必要経費)

外国専門家によって負担され、その負担がシンガポール居住者である支払い者に付け替えられていない費用についてのみ、住所得計算上の必要経費として控除が可能です。

「暦年で60日以内の滞在費用」や「航空運賃」で外国人専門家が負担したものについて必要経費として控除が認められますが、60日を超えて滞在する場合には、それらの費用の全額が控除不可となりますので注意が必要です。

 

(損金不算入の費用)

滞在期間の飲食費、移動にかかる交通費等については、必要経費性が認められず、純所得の計算上控除することができません。

 

(支払者の源泉徴収義務)

外国人専門家に対する課税については、シンガポール居住者である支払い者に対して源泉徴収義務が課せられていることから、IRASが直接外国人専門家に対して、納税通知書等を送付することはありません。

 

 

 

8) 複数の支払いがある場合

 

同一の外国人専門家に対して2回以上の支払い(multiple payaments)がある場合には、それらの支払いに掛かる源泉所得税をまとめて納付することができます。最初の支払い日から最終の支払い日までの期間が60日を超えないという条件の下、その期間にされた支払いにかかる源泉税所得税は、まとめて最終支払日翌日15日まで2012年7月1日以後の支払い分から、翌々月の15日まで)に納付すればよいとされています。

 

最初の支払日はら60日を経過した後にされた支払いに掛かる源泉税については、まとめることができないため、個別に納付する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注)シンガポール国内で提供された対象サービスに係る対価のみが源泉徴収の対象であり、シンガポール国外で提供されたサービスに対する支払いは源泉徴収の必要がありません。

 

 

 

Last updated on November 26, 2012