シンガポールの会計制度
1. ACRA
シンガポールの会計制度はACRA(Accounting and Corporate Regulatory Authority:http://www.acra.gov.sg/ )が担当官庁であり、以下の法律に関する手続きを所管しています。会計の年次申告(Annual Return: AR)に関する手続きやその報告形式、会計士の登録等はACRAの定める規則に従う必要があります。
2. 申告要件 (Filing Requirements)
シンガポールで設立された企業は毎期定時株主総会: AGM ( Annual General Meeting )を行った上で、以下の財務諸表をACRAへ申告することが要求されます(Companies Act, Section175, 179, 201)。
** 会計監査人による監査が免除される法人(Small EPC)については不要。
財務諸表のサンプルはこちらをご参照ください。
http://www.acra.gov.sg/NR/rdonlyres/6EA4C4E3-21B8-4F77-B649-FDEBC7F45C2E/9386/Seesampleaccounts.pdf
3.財務諸表の登記・閲覧
シンガポールの会社法上、シンガポール法人の全ては定時株主総会終了後1ヶ月以内に上記財務諸表を 年次申告(Annual Return: AR)としてACRAへ申告しなければなりません(Companies Act, Section197) が、申告した財務データは原則として公衆の縦覧に付されます。
XBRL ("Extensible Business Reporting Language") 形式化された決算報告の内容は、"bizfile"と呼ばれる検索システムを通じて閲覧することが可能であり、また閲覧できる対象法人には、公開会社(Public Company) のみならず非公開会社(Private Company)も含まれます。
4. 会計基準 とASC
シンガポールの会計基準は、財務報告基準 (Financial Reporting Standard: FRS)及び財務報告基準解釈 (Interpretation of FRS: INT FRS)から構成されています。
シンガポールは、国際化に対応した透明性、比較可能性、コンプライアンス費用逓減のため、国際財務報告基準(IFRS)をいち早く取り入れています。
会計基準法 (Accounting Standard Act)の定めの下、会計基準審議会 (Accounting Standard Council: ASC)が会計基準についての監督権限を有しています。また、会計基準の種類として以下の2つがあります。
大法人向け会計基準:シンガポール財務報告基準(SFRS)
中小法人向け会計基準: SFRS for SMEs
5. 税法との関係
シンガポールの会計と税法は完全に分離しています。日本のように税務上の損金とするために会計上も費用処理する必要性(損金経理要件)は求められないため、税法の影響で会計数値が歪められることはありません。
6. 会計監査制度
日本と大きく異なるの点は、シンガポール法人はたとえ非公開会社であったとしても、原則として独立した会計監査人による監査が必要となることです。
監査人は会社設立後3ヶ月以内に任命されなければなりません。また監査人は定時株主総会毎に任命する必要があります。
但し、例外として、以下の法人については会計監査人による監査が免除となります。
7. 会計帳簿の保管
すべてのシンガポール法人は、会計帳簿及びその関係書類を、各決算終了後5年間は保存しなければなりません。